巷で噂のエンジニアはどのような会社で働くべきか論争を見かけたのでSES → 受託 → 自社 と働く会社を移してきた僕から解説させてください。
エンジニア歴は短いのですが、これまでに以下の形態の会社で働いてきました。
- SES
- 受託
- 自社
そんな僕からエンジニアとして働くべき会社を解説します。笑
SES 時代
入社した経緯
まずは SES 時代です。
当時の僕は異業種からの IT 業界への転職を目指していたこともあり、IT 業界に対する知識が全くない状態でした。
SES ?
なにそれ?(鼻くそホジホジ)
そのため手当たり次第に面接を受けまくっていた記憶があります。(今考えるとかなりアホですね。笑)
当時の世界情勢的にはコロナが大流行していた時期ということもあり、求人数はかなり狭めらていた状況でした。
そのような中、転職活動を進めていくにあたり戦略として以下の対策を講じました。
- 自作のウェブアプリケーションを作る
- 資格を取得する
- 技術記事を書く
転職活動という大航海を戦うには心細い能力値の低い武器を揃えて旅に出ていたため、条件の悪い求人にしか出会うことが出来ませんでした。
- 家電量販店で勤務後、自己学習を行う。上長の技術的了承を得られたらシステム開発の現場に入れる
- コールセンターで勤務(資格取得やITに関する知識を取り入れる事が目的らしい。
そんな中、あるSES会社と出会い入社をしました。
- 僕の揃えた武器に対して「君は努力のできる人だと思う」と評価
- 先輩のアセットとしてシステム開発の現場に入れてもらえる
中々良い出会いが無い未経験からの転職活動だったので、このSES会社に出会えた事はとても嬉しかったです。
業務内容
本当に末端の作業員だという内容の業務をこなしました。(未経験で入社したのでそれは仕方がない)
具体的には以下のような内容です。
- テスト仕様書に沿ってテストを実施する
- エビデンスをスクショし、 Excel に貼り付ける
- HTML で書かれているページを Excel におこす
- 現在の画面を仕様書に残すため
- Git 使えや。クソが。
- データ移行(DB移行)
- これは勉強になった
良かったこと
未経験からの IT業界への初参入ということだったので、全てが学びになったという自負があります。
質問の仕方や会話の仕方など他の業界とは異なっている事を知れたのはエンジニアとしての学びでした(特に質問の仕方は何度もご指導いただきました。笑)
また、システム開発の概要を知れたのはかなり大きかったです。
多くの人がそれぞれの役割をこなし、納期や予算と戦いながらゴールに向かった進んでいく姿勢はプログラムを書くだけが仕事ではないという事を学ぶことが出来ました。
その他にも何かしらの病気を抱えている率が高いこと(生活習慣病、精神疾患)や小汚いおじさんに見える人が実はかなり稼いでいる事など業界 の知見が増えたのは人生の経験という観点からもすごく勉強になりました。
悪かったこと
悪いことを上げればキリがないのですが、特に印象深かったものを紹介します。
- 先輩社員に意識を高く持っている人がいない(自社の先輩)
- 商流が深すぎて末端の作業
- 三次受けだが二次受けとして入場
特に1番の意識の高い人がいなかったという事は エンジニアとして終わっている と思います。
当時の僕もそうですが、経験のない人はその現場が IT業界 の全てだと思ってしまいます。
そのためそれがデフォルトとなってしまうため、害悪以外の何物でもありません。(当時は分からなかったのですが、今となってははっきり言えます)
技術力が低くても高い志は持つべきというのが僕の信念です。
SES をやめようと思った理由
未経験からIT業界を目指した理由である「システムを作ってみたい」という目標にたどり着くのに時間がかかってしまうと考えたため、転職しました。
未経験から拾ってもらったこの会社には恩しかないのですが、なんのために頑張っているかを考えた結果、次のステップに行く決意をしました。
今となっては当時の決断と行動は良かったと思っています。
受託会社時代
入社した経緯
当時はとにかく開発がしたいという気持ちがかなり強く、プログラムを書けるお仕事に就く事を目的に仕事を探していました。
当時のスキルセットというか僕の経歴上、なかなか僕自身が目指していた仕事に就くことは難しい状況でした。
その当時のスキルセットは以下になります。(未経験の実務経験1年に仕事があるはずがない
実務経験 | 1年 |
スキルセット |
|
またスキルセットが薄い上に経歴もかなり汚れていたため、ハードルはかなり高い状況です。笑
これ以上経歴を汚さない + 目標にしていた業務内容(開発業務)の両方を達成するためには普通のやり方だと絶対上手くいかない事が目に見えていたので、派遣としてやっていこうと作戦を練りました。
派遣なら現場を転々としても履歴書には「202x年 x月 〇〇 入社」という形で書くことになるので、経歴が汚くなることを防ぐ事ができます。
また、開発業務に携わるのが難しいと判断したら次の現場に向かうのも正社員と比較して容易です。
実力がない人に限ってはフリーランスやSESより派遣は結構強くおすすめします。
- 環境が悪い現場から逃げ出しやすい(経歴を汚さないで済む)
- 運とタイミング次第では自分が求めている環境に飛び込める
- 契約満了時は失業保険すぐ受け取れる(会社都合で申請できるため)
ちゃんとデメリットは存在しますが、メリットのほうが大きいと思いますよーん
上記の考えから以下の派遣会社に登録し、いくつかの面談を受けました。
作戦はズバリ的中し、受託開発を行っている企業にプログラマーとして派遣されることが決まりました。
この受託開発企業では3ヶ月の派遣期間が終了と同時に派遣元から引き抜きという形で正社員として入社させてくれたので何だかんだ運がよかったかもしれません。(かなりブラックでしたが笑)
良かったこと
本当に信じられないくらいの様々な経験をすることができました。
- 顧客との打ち合わせ
- 要件定義
- インフラ構築
- 開発
- テスト
- 運用
経験のない人間に上記のフェーズ全てを任せるのは企業としてはどうかと思うのですが、僕個人にはメリットしかない期間でした。
この企業で大きな学びとなったのは以下2点です。
- 各フェーズにおける苦労
- セキュリティ
- システムはお金を稼ぐ手段でしかない
特に3のシステムはお金を稼ぐ手段でしかないはという考えは一生の宝物だと考えています。
顧客にとって必要なものは最新の技術を使ったシステムやおしゃれなUIで仕上げられた中身のないシステムではなく今、目の前にある課題を解決するシステムが必要であるということです。
この点をあまり理解していないエンジニアは肌感として多いと感じています。
「誰のため」や「何のため」を意識していかないと自己満で業務をこなすエンジニアになってしまうので皆さんもご注意を。笑
悪かったこと
とにかく色々な案件を掛け持っていたので労働時間がかなり長かったです。(詳細は以下の記事を。笑)
労働時間の問題さえなければ勉強になる状態ではあったので続けたかったのが本音になります。
たくさん勉強できたので個人的には満足な期間でした。
自社開発時代
入社した経緯
受託企業では短期間で様々な経験をすることができたのですが、基礎をすっ飛ばして目の前の案件を納期までに何とか動く状態にする事を目的に開発業務を行っていました。
簡単に言うと「保守性」「拡張性」「セキュリティ強度」が低い状態のシステムを作っていました。
エンジニアとしての能力値がかなり低い状態でしたので、次の現場ではちゃんとしたシステム開発を行っている企業に入社することを目標に転職活動を行いました。
ここでいうちゃんとしたシステム開発というのは以下のことを指します。
- セキュリティ意識が強いか
- 会社内でエンジニアの人権はあるか
→人権ないと環境が整わないのでいい加減なシステム開発になりがち - 強強エンジニアは在籍しているか
→知見を元に良いシステムが何なのかを考えてくれるセーフティーライン
転職活動時は受託と自社に絞って求人を探していました。
Green と 転職ドラフト, TechClips ME(テックミー)を使って本当にたくさんの求人を精査しました。
- 前回の受託企業のような詰め込み型の令和の時代にそぐわない企業を避けるため。
- どちらもエンジニア向けのサービスであり、経歴書を充実させることで企業からのオファーが来るので結構おすすめです。
結果的に転職ドラフト経由で出会った自社開発企業の面接官が以下の事を言ってくれたので転職することを決めました。
- 君はまだまだ技術力が低い
- まだまだ知るべき事はたくさんある
- 私達の会社で勉強しながら成長しないかい?
良かったこと
いいものを作るというマインドが高い人に出会えた事が何よりも得難いものでした。
いいものを作るというマインドは過程の中では正しいプログラムの書き方やシステムとしてあるべき姿を目指すことになるので、確かな技術力の向上が感じられました。
(これが当たり前と言われればそうですが…
また技術力の向上と合わせて組織の作り方 も勉強になっています。
企業自体の従業員数は2000名ほどの人数を抱えているのですが、開発部は20名弱の組織体系です。
そのため正にこれからの組織という感じで、本当に価値のあるものを届けるために色々なアプローチを試しています。
優秀な先輩たちが「これを達成したい」と目標を定めて取り組む姿は、過程も含めて勉強になっています。(エンジニアである前に人間ですからね。笑)
悪かったこと
実際のところ、自社サービスを展開しているのですが毎月赤字という状況です。
どうにかこの状況を打開するために営業と開発が肩を組みながら頑張っている状況ですが、赤字という状況は肩身を狭くします。
現在、各数値が改善してきているので近いうちに黒字になってくれるはずでしょう。(希望的観測!)
所属会社の形態によって変わること
特徴 | エンジニアスキル | ビジネススキル | |
SES | 契約切られなければ何しても | ☆ | ☆ |
受託 | 納期と太客が絶対 | ☆☆ | ☆☆☆ |
自社 | いいものを作る | ☆☆☆ | ☆☆ |
SES を悪く言うつもりはない
上記の表で SES の評価が高くないのは、僕が所属していた SES企業 があまり良くないところだったからです。
友達が所属している SES 企業の話を聞く限り、結構条件は整っているなぁという印象があります。
- 自社プレゼン会(自分で作ってきたものがプロダクトになる可能性)
- 案件選択性
- 以外にも平均勤続年数が高い
本当にピンキリです。
エンジニアスキル
エンジニアスキルは圧倒的に自社サービスが身につきます。
自社サービスに入社してよかったことにも記載したのですが、いいものを作るというマインドはかなり大きいです。
いいものを作ったところで売上が上がるとは限らないのですが、自分たちのサービスで下手なものを作るという事は絶対にしてはいけないことです。(わざわざ負債を抱える必要はない)
いいものを作るためには技術力が必要ですから、圧倒的に自社サービスが完勝です。
ビジネススキル
ビジネススキルは圧倒的に受託開発が身につきます。
理由はお客様は神様という構図が成り立つからですあり、お客さんとの調整をミスれば炎上してしまうという恐ろしい現実が待っているからです。
受託金額が高ければ高いほど無茶な要求をしてくるというのが肌感覚としてあったり、納期もなんやかんやで短く設定してきたりします。
また、ギスギスした社内であれば社内調整も必要のため、エンジニア業務以外の時間でかなりの労力が必要です。
顧客調整と社内調整の両方の観点からビジネススキルは受託企業の完勝です。
所属会社の形態によって変わらないこと
エンジニアである限り不変なことです。
技術力があり、所属先で価値を出せていること
上記が達成できている人はどの現場に行こうがどの形態で働こうが最強のエンジニアです。
所属会社の形態に関わらず大切にしないといけないこと
会社の形態によって特徴が違うのですが、学ぶべき点はどの形態の会社に行っても必ずあります。
そのため、1エンジニアとして最大限学ぶためにはプロジェクトの中心にいることが大切になってきます。
- テックリード
- スクラムマスター
- 上流担当
「自社サービスで末端の作業員をやっています!」という人よりも「SES で俺がプロジェクト回しているぜ」っていう人の方が圧倒的に市場価値は高いです。
どの形態で働こうがこの考えは大切にするべきです。
最後に
どの形態の会社で働くにせよ、自身の技術力を向上させ、プロジェクトで中心的な役割を果たすことを大事にしてください。
自分自身が何を考え、何を大事にするかで選択は変わってくると思います。
経験を通して学び、スキルを向上させ、満足の行くキャリアを歩めるように祈っています。お互いに頑張りましょう。